大判例

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東京地方裁判所 昭和35年(ワ)4661号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔事実と判断〕原告は被告にたいしタイヤ、マットレス等の売掛代金五三万二三五〇円の支払を請求したところ、被告は右代金の支払方法として四通の手形を交付してあるから原告はまず手形債権を行使すべきである。しかるに原告は右手形を満期に支払場所に呈示していないから、みぎ代金の支払いを求めることはできないと抗弁した。原告は被告のみぎ抗弁にたいし、受けとつた四通の手形のうち三通を支払場所に呈示していない事実は認めるが、これら手形はいずれも各満期以前にみぎ手形の振出人が銀行取引を停止されたからであると再抗弁した。

判決はまず支払のため手形が振り出されている場合にはまず手形債権を先に行使すべきであるとの被告の主張を容れたが、もしみぎ手形が満期に呈示しても支払いをうけることができないことがあきらかである場合には、手形債権を行使することなく直ちに基本債権を行使しうべきであるとして原告の再抗弁を認容し、つぎのとおり説明している。曰く。

「原告が本件手形のうち(一)及び(三)(四)を満期に支払場所に呈示していないことは当事者間に争いがないが、弁論の全趣旨によると、原告は(二)の手形をその満期の日に支払場所に呈示して手形金の支払いを求めたが支払いを受けることができなかつたことが認められる。そして、右各手形の振出人である訴外加賀建材こと加賀正光が右各手形の満期前に銀行から取引停止処分を受けたこともまた、被告が明らかに争わないから、これを自白したものとみなす。このように約束手形の振出人が銀行取引停止処分を受け、しかもその手形一通を満期に支払場所に呈示したが支払いを拒絶されたという場合においては、たとえその他の手形を満期に呈示してもその支払いを受けることを期待することができないことは明らかであり、したがつてこの場合、手形債権を行使することはもはやむだになつたとみるべきである。したがつて、既存債権と本件のような手形債権とが併存する場合には手形債権を先に行使しなければならないこと被告主張のとおりであるが、右のような事情がある場合においては、手形債権を行使してその支払いを拒絶された場合と同様に最初から既存債権を行使することができるものとするのが相当である。被告の右抗弁の失当である。」

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